イヴェアムに執務室にある書簡を持ってきてくれと頼まれたアクウィナスは、彼女の頼みに些かの疑問を感じていた。
それは彼女が書簡の話をして、テッケイルがアクウィナスの代わりに取りに行くと言った時の彼女の言葉だ。蔵秘回春丹
『ううん、アクウィナスにしか場所は分からないと思うから』
イヴェアムはそう言った。だがそんな書簡を書いていることは、アクウィナスにとっても初耳であり、保管されている場所も予想はできるといった程度のもの。
しかも場所といっても、机の引き出しにあるということは大体予想できる。誰でもだ。アクウィナスだけというわけではない。テッケイルだって執務室に入ったことがあるのだから。
何故彼女はそんな支離滅裂な言動をしたのか意味不明ではあったが、頼まれた以上は仕方ないと思いこうして執務室までやってきたのだ。
しかし不思議なことに、机に設置されてある引き出しを全部開けて確かめても、そのような書簡など一つも見当たらなかった。
「……どういうことだ?」
室内を見回しても、書簡を保管できるようなものはない。第一秘密文書でもないのだから、厳重に保管されているわけもなく、引き出しに入っているはずだったのだ。
だがどれだけ探しても発見することができない。
「まさか陛下の勘違いではないのか?」
もしかしたらこの執務室ではなく、彼女の自室に置いてあるのかもしれない。それなら勝手に入るわけにはいかない。許可が必要だ。
「仕方ないな。一度戻るか」
イヴェアムの自室にあるのなら、彼女自身に取ってきてもらうしかないだろうと思いつつ会議室へと向かった。
部屋に入ると何故か日色の姿が無かった。
「む? 陛下、ヒイロはどうした?」
「あ、ごめんなさいアクウィナス。実は書簡のことだけど、自分で持ってたのを忘れていたの」
「は?」
「勘違いしてしまっていたわ。本当にごめんなさい」
「……ならそれをヒイロに渡したのか?」
「ええ、ヒイロなら書簡を持って出て行ったわ」
「まあ、問題がなければそれでいい。なら会議の続きを始めるか」
「そうね、始めましょう」
アクウィナスは席に着き、今後の『神族ゴドス』の動きに関して話し始めた。その場にいる者全員の眼の奥にどんよりとした光が燻っていることなどまったく気づかなかった。
ミュア・カストレイアが《一天突破の儀》を終えて戻って来たのは、現実時間で三日が経った後だった。男用99神油
「ミュアちゃんっ!?」
「ミュアッ!?」
空間の亀裂からミュアが出てくると、真っ先にミミルとアノールドが駆け寄ってきた。
「ミミルちゃん! おじさん!」
二人の抱擁を受け止めて帰還の喜びを味わう。
「心配したぞミュア!」
「ごめんね、おじさん。黙っていなくなっちゃって」
「そうですよ、ミュアちゃん! 本当に心が押し潰されそうでした!」
「ミミルちゃんもごめん。でも、帰ってきたよ」
「ああ、よく帰ってきたな。さすがはミュアだぜ!」
アノールドがもう一度力一杯抱きしめる。
「ん~ちょっと苦しいよ、おじさん」
「ああ、悪い悪い。つい嬉しくなってな。どこも痛くねえか? 大丈夫なのか?」
「うん。大変だったけどね」
ミュアはクルリと身体の向きを変えると、スーと対面し、彼に向かって頭を下げる。
「ありがとうございました。お蔭で強くなれたと思います」
「良い顔になった。乗り越えたのだな」
「はい!」
「フッ、まさかノアと同じ三日でクリアするとはな。さすがは『銀竜』といったところか」
彼の言葉で三日も過ぎていたことに驚きがあったが、褒められたことがやはり嬉しかった。
「本当にありがとうございました!」
「礼などいい。我はただ道を示しただけだ。選んだのはお前自身。そして乗り越えたのもお前だ。得た力でこれから先、お前がどのような道を行くのか、楽しみに拝見させてもらおう」
ミュアはもう一度頭を下げると、アノールドの顔を見つめる。
「おじさん、試練でね、お父さんとお母さんに会ったよ」
「……へ? ギンにか? ど、どういうことだ?」
「うん、詳しくはあとでお話するね。ところでヒイロさんは? まだ世界を飛び回っているとか?」
その瞬間、その場にいる者たちの表情に陰りが帯びる。
「……? おじさん? ミュアちゃん?」
そこへミミルが《ボンドリング》を見せる。
「実はですね、何度もヒイロさまに呼びかけているのですが、一向に連絡が取れないのです」
「……連絡が取れない? 《ボンドリング》でも?」男根増長素
「はい……」
それはおかしな話だった。《ボンドリング》は、同じものを身に着けている者が、どれだけ遠く離れていても心の中で会話ができる代物。
それは日色が元の世界に戻っても会話できたことで証明されている。この世界にいるのなら、確実にコンタクトは取れるはずなのだ。
「他国にも連絡を取ってみたんだがな」
「お師匠様……」
ララシークが白衣の左手をポケットに突っ込み、右手に持った酒を呑みながら答える。
「ジュドム、レオウード、イヴェアム。それぞれの王に確認してみたが、すでにヒイロは国を出たって言った。つまりここに向かっていたはずだ」
「な、ならどうしてまだ帰ってきてないんですか? 王たちに確かめたのはいつですか?」
「昨日だ。二日も帰ってこねえから、一応ミミル様に連絡を取ってもらったんだが反応がない。だから王たちにも連絡を取ってみたが……」
「つまり二十四時間、ヒイロさんの行方が分からない?」
「そういうこった」
「そんな……」
自分が試練を乗り越えたことを、彼にも伝えたかった。そして褒めてほしかった。よくやったなと頭を撫でてほしかった。
それなのに彼がいない……。しかも行方不明状態。
「何か手掛かりは無いんですか?」
「あったとしても、俺たちはこっから動くわけにはいかねえ。それに今、ウイたちが探し回ってくれてる」
「ウイさんたちが?」
「ああ、ヒイロに送られてきたんだ。リリィンとシウバ、ウイとクゼル、そしてシャモエとミカヅキだ。シャモエとミカヅキは、ドウルの手伝いをしてるが、他の連中はヒイロの手掛かりを探し回ってる」
「……ニッキちゃんは?」
「アイツもな。一応止めたんだが、聞かなくてよ。真っ先に飛び出しちまった」
「そんな!? ニッキちゃんは《不明の領域者レベル・エラー》の因子を持ってないんじゃないの? 危険だよ!」
「そう言ったんだがな。気がつけばいなくなってた。まあ、傍には『精霊』のヒメもいるから迷ったりすることはないだろうけどさ」
「そうだ! テンさんならすぐにヒイロさんのとこへ転移できるでしょ!」
「それが……なぁ」
アノールドたちの視線がテーブルへと向く。そこには見覚えのある武器が置いてあった。
「それってヒイロさんの!?」
そう、《絶刀・ザンゲキ》である。
「《ボンドリング》が反応しなくなって、王たちに確認を取ったあと、ここへテンがその刀を持って現れたんだ」男宝
「テ、テンさんが?」
「ああ、刀は【魔国・ハーオス】からかなり離れた草原に落ちてたそうだ」
「どうしてそんなところに?」
「さあな。アイツなら転移してすぐにここへ来れたはずなのに、何でそこに刀だけがあったのかまったく分からねえ。考えられるのは、そこを通過している時に何者かに襲われた……ってとこだろうが」
日色がそう簡単に捕らえられるわけがない。彼は言ってみれば世界最強の力を持っている存在なのだから。
「ただ、そこには戦闘の跡とかも一切なかったらしい。テンは今頃、その周辺を探してると思うが、帰ってこねえところを見ると、まだ見つかってねえみてえなんだ」
「あ~あ、せっかくアレも完成したってのによぉ。主役がいなきゃ、動かせねえじゃねえか」
ララシークの舌打ちが、静寂が広がっている室内に響く。
「ヒイロさんに……何があったの……?」
誰にも分からない呟きをミュアは漏らす。空気が重く誰も口を開かない。
そんな中、一人の人物が空気を割る。
「ふわぁ~…………ん? あれ? みんなどうしたの?」
暢気に寝ていたノアが、まだ寝足りなさそうな表情で首を傾げている。
「はぁ。お前はいい加減に空気を読む修練が必要だな」
「はい? ねえスー」
「何だ?」
「お腹減ったんだけど」
大きなスーの溜め息が零れ出る。
「おいノア。お前のお気に入りであるヒイロ・オカムラが消息を絶ったぞ?」
「…………えっ!? もしかして一人だけで『神族ゴドス』んとこに行ったの? ズルいよ! おれだって戦いたいのに!」
「それならばまだ良かったのだが、事態はお前が思っているより困窮を極めているようだぞ」
「……? どういうこと?」
スーが今までの話を掻い摘んで彼に教えた。三体牛鞭
「ふぅん、大丈夫でしょ?」
「え? ど、どうして大丈夫なんて分かるんですか?」
ミュアがノアの言葉に喰いつく。
「だってさぁ、あのヒイロだよ? おれと対等に戦えるアイツが、誰かにやられるわけないし。やるならおれがやるし。だからそのうちひょっこり出てくるんじゃないの? ねえスー、そんなしょうもないことよりお腹減ったってば」
「分かった分かった。なら厨房に行くぞ」
「ほいほ~い」
ノアは愉快気にスーと一緒に部屋から出て行く。
「すまんかったのう、ミュア。あやつは昔から空気を読めん奴なんじゃて」
ドゥラキンの謝罪。
「い、いいえ。でも少し元気が出ました」
「ほ? それまた何でじゃて?」
「確かにノアさんの言葉は軽いように感じられましたけど、あれってヒイロさんを信じてるってことじゃないですか」
ミュアの言葉にミミルたちもハッとなり目を見開く。
「ずっと傍にいたわたしたちよりも、誰よりもノアさんはヒイロさんの強さを信じているんです。何か悔しいです……ノアさんに負けた感じで」
「ミ、ミミルも……悔しいです。ヒイロさまへの想いが負けたようで」
「うん。だから信じようよミミルちゃん! きっとヒイロさんは無事。ノアさんの言う通り、そのうち何事もなかった感じで戻ってくるはずだから!」
「はい! ヒイロさまは誰よりも逞しく、誰よりもお強い方です。必ずまた、ミミルたちのもとへと帰ってきてくれるはずですね!」
二人の言葉に、周りの大人たちも幾分と表情がスッキリしているように見える。
「だな。師匠、こうなったらアイツが帰って来るまで、アレを強化させましょう!」
「変にやる気じゃねえか、アノールド」
「俺だってあのバカを信じてますから!」
「なるほど。どいつもこいつも、アイツに首ったけってわけか。いいだろう、やれることはやり尽くしてやる。行くぞ、バカ弟子」
「はい!」
アノールドとララシークが地下空洞へと向かった。少し活気づいた様子に、ミュアはホッと肩を撫で下ろしていた。
(ヒイロさん、信じて待っていますから。必ず無事に帰ってきてください)SEX DROPS
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