「酷く面倒なことに巻き込んでしまって申し訳ありませんが、了承して頂いたこと、誠に感謝致します、蓮弥さん。」
深々と頭を下げる幼女。
こういう時、幼女の外見というのはどうにも困ったものだよな、と蓮弥は思う。
別に悪いことをしているわけではないのに、なんとなく幼女に頭を下げさせている自分が何か悪いことをしているような気分にさせられるからだ。中絶薬
「ああ、別にいいから頭を上げてくれ」
声に少々の焦りが出てしまったのも仕方のないことだと言えるはずだ。
幼女は、さらに深く頭をさげてからゆっくりと顔を上げる。
「本当にすみません。蓮弥さんに断られたらまた別の適合者を探す羽目になるとこでした」
とっても大変なお仕事なんですよーと言う幼女に、蓮弥は興味を引かれて尋ねてみた。
「ちなみに、適合者がいる確率は?」
「5,630,000,000分の1人です」
さらりと言い切られた数に、蓮弥はまたため息をつく。
数から言えば、地球上に一人しかいない確率であり、随分と低い確率の貧乏くじを引かされたものだ、と思ってしまったからだ。
「それで、どういう感じでそちらの世界に送られるんだ? もしかして生まれた所からやりなおす感じか?」
それは勘弁して欲しいなという思いを、匂わせるように蓮弥は言う。
今までの記憶がないので、今更と言うのも違う気はしているが、赤ん坊から幼児の時代をやり直すというのは、どうにも気が乗らない。
さらに、この精神のままで赤ん坊をやることになったら、恥ずかしさだけで死ねる気がする。
「輪廻のシステムに流そうとすると、あちらの管理者の権限で弾かれる可能性がありますので、私の力で強引に世界に割り込みをかけます。ですので、生まれなおしという事にはなりませんね。あちらで死んじゃった場合は自動的にまたここに来れるように設定しますので、次の転生先はご希望に沿った形にさせて頂きます」
送り込まれたら、その送り先に延々居続けなくてはならないということではないようなので、その点に関しては蓮弥は安心した。
話を聞く限り、あまり長居したくなるような世界ではなかったからだ。
「戸籍なんかに関しては、迷い人である、と言ってもらえればあちらの世界の住民に通じますからご安心を」
「なにそれ?」
「別の世界から迷い込んだ人達と言うのが、この世界には結構いたんですよ。世界自体が不安定なせいで、偶発的に他の世界への亀裂が開くことが多かったんです」
「壁を越えるのに適性云々って話はどこに?」
「穴に落ちるのと、壁を越えるのを同一にされては困りますよ」
蓮弥に見せるために開いていたウィンドウを指の一振りで消し、幼女は別のウィンドウを開く。
「あ、さて。一度あちらに行ってもらうと、数十年くらいはあちらで暮らしてもらわなければならないわけですが、それに先立って、この神である私より、恩恵を差し上げようと思います」
神と言う単語に、妙なアクセントをつけられて、蓮弥はぽんと一つ手を叩いた。
「そう言えば神様なんだっけね」
「わーすーれーなーいーでー! そこ大事なトコですよ!?」
「いやだって、そんな格好だし、神々しさとかからかけ離れてるし」
指摘されて幼女は、少し悔しそうに唇をかんだ。
何か触れてはいけない部分に触れてしまっただろうか、と内心ややあせる蓮弥に、少女が呟く。
「庇護欲とかを誘う為に、華奢で弱弱しい格好を選択したのが裏目にでるとは……」
「計算づくかよ」RU486
向ける視線が冷たくなるのを抑えられない蓮弥だったが、幼女は握りこぶしを固めて、力強く言い放つ。
「しょうがないじゃないですか。人間どこまできれいごとを並べても結局第一印象は外見なんですよ。イケメンが女性の肩を抱いても問題にはなりにくいですが、ブサのヲタが同じ事をしたらセクハラとか強制わいせつとかで通報されるのが現実でしょうが?」
「事実だが、ほっとけ! それより恩恵だろ!? 何かくれるんだろ!?」
このままこの幼女のしゃべらせていたのでは、非常に不味い気がして蓮弥が遮るように口を挟むと、幼女は握りこぶしを解いてぽんと一つ手を叩いた。
「そうでしたそうでした。まず私から差し上げる恩恵の一つは<わかさ>です」
「……原発のある……」
「それは若狭。これから異世界に行くのに、日本の土地もらってどうするつもりですか」
ボケた蓮弥に、呆れて突っ込む幼女。
蓮弥からしてみれば、毒を多量に含んだ台詞を所々で吐き散らす幼女に、たまにはツッコミ役を担当して欲しいという思いからのボケだったが、幼女の投げやりな口調からしてあまり効果の程はなかったらしい。
「若さですよ! 94歳のおじーちゃんだった貴方を、私の力で18歳くらいのぴちぴちした体にして差し上げます」
「94歳の体で送られたほうが、すぐ死んで転生できる分、いいんじゃないか?」
どうせリソースを添付されて、それを異世界に届けた時点でお役ごめんなのだから、長生きする必要もないじゃないか、と蓮弥は思った。
効率的と言えば効率的な提案だが、あまりに枯れた意見に幼女の口が開いたままふさがらなくなる。
「別にそちらですることもないんだろう?」
「そ、それはそうですが……。これから行く世界は所謂、剣と魔法の世界ですよ? 冒険のネタがゴロゴロ転がってて一攫千金に、ハーレム作成も夢じゃない世界ですよ!? 何を枯れたススキみたいな、爺臭いこと言ってるんですか?」
「いや、ススキかどうかは別として、元々爺なんだが、俺……」
94歳だしな、と蓮弥が言うと、幼女は二の句が継げなくなる。
「え?あー……。うーむ……」
開いたばかりのウィンドウに指を走らせて幼女が考え込んだ。
半透明ではあったが、微妙に見えづらいもので、ちょうど蓮弥の側からはそのウィンドウに何が書かれているのか見ることができない。
しばらくウィンドウを操作していた幼女は、何か目的のものを見つけたらしく、ぱっと顔を輝かせて蓮弥の方へ向き直った。
「蓮弥さん、実はあちらの世界には、蓮弥さんがいた元の世界にはなかった、美味しい食べ物が結構な数あります」
「ほぉ?」
言われて蓮弥は幼女が何を探していたのかを察した。
おそらくは、自分にある程度、やる気と言うか生きる気を起こさせるための情報を探していたのだろう。
生前の記憶に関してはかなりの部分をすっぽりと忘れてしまっている蓮弥であったが、美食と言う単語には、抗いがたい誘惑を感じてしまっていた。
きっと自分は、生前は食べることを趣味としていたのだろうと蓮弥は推測する。
「当然ですが、美味しくて安いものもあれば、目の玉が飛び出るくらいに高くて美味しいものもあるわけです。これらを味わいつくすためには大量のお金が必要です。大量のお金を稼ぐ為には94歳のおじーちゃんでは無理です」
ぐっと拳を握り締めて幼女が力説する。
「一理あるな。ノせられてやろう。それならば若い体で行くことは問題ない。それで本音の部分はどうなんだ? 隠し事はタメにならんぞ?」
「蓮弥さんの魂に添付するリソースの拡散に数十年かかると思われます。ぽいしたらおしまいという類のものではなく、死体からはリソースの拡散は行われませんので、可能な限り長生きして頂けると神としても助かるかなーって思う次第です、はい」巨人倍増枸杞カプセル
蓮弥に問われると、意外とあっさりと幼女は本音を吐いた。
隠し事は本当にタメになりそうにないなと悟ったらしい。
「恩恵じゃなくて必要な処置じゃないか」
「うう……。普通なら若返らせるって言うだけで、神様ありがとーって簡単に釣れるのに」
うつむき加減で涙目、という様子で、腹黒いことを呟く幼女。
「恩恵、と言うくらいなのだからちゃんとしたギフトをくれ。生きていく為に必要だったり、リソースの拡散作業に必要なものは必要経費だろう?」
「むー、じゃあ蓮弥さんはどんな恩恵が欲しいですか?」
幼女は考えることをあっさりと放棄して、逆に蓮弥に問い返してきた。
「私からの恩恵は<蓮弥さんが必要だと思うことを差し上げる>権利としましょう」
「金」
蓮弥が真面目に即答すると幼女がのけぞった。
「それと絶対安全なネグラと、しゃれにならない戦闘能力」
「勘弁してください……。リソース不足で滅びる前に、バランスブレイクして滅びます、世界が」
のけぞった状態から、土下座に移行するという器用な真似をして、幼女が額を地面にこすりつけ始めたので、流石の蓮弥も悪いことしたかなという気分になった。
「くれれば楽だったんだが、そう美味い話はないよな」
「嘘みたいな量の希少金属の山を創れないわけではないですが、世界の流通が破綻しますし、個人に一国滅ぼせる戦力を与えるのも、いい影響があるわけありません。絶対安全な住まいと言うのも、創れなくはないですが、定住されると拡散作業の方が……」
「ああ、まぁ言ってみただけだから立ってくれていいよ」
何でも差し上げると言った前言をいきなり翻すことになった形の幼女は、身の置き場がないような感じで縮こまってしまっている。
「取り合えず若い体になるのだから、健康は欲しいな」
ここで時間を浪費してしまっては、気まずさだけが加速的に増していくだけだと考えた蓮弥は思いつくままに、だがなるべく大事になりそうにない要素から順番にあげていくことにした。
「は、はい。健康ですね」
「それに、たぶん俺は呑み食いするのが趣味っぽいので、強い胃袋と肝臓が必要だ」
「なるほど、酒精耐性と健啖ですね」
「それと金を稼ぐ必要があるのだから、それに適した能力が欲しいな。剣と魔法の世界なんて謳うからには、やっぱり荒事関係が手っ取り早いんだろうな?」
「そうですね。戦闘関連は適度に適当に……」
どこから取り出したのか分からなかったが、幼女はちいさなメモ帳を手にし、蓮弥の言葉を熱心に聞き取りながら一生懸命メモを取っている。
何もない空間にウィンドウを表示させるような力があるわりに、随分とアナログな方法で記録を取るものだなと思いながら、蓮弥は続ける。
「物作りもしてみたい。何故か知らないが鍛冶関連で刀鍛冶なんて言葉に惹かれる」
「ふむふむ、ってそう言えば蓮弥さんって元々剣道の段持ちでしたよ」
「そうか、ってそういう記憶も忘却させられてるのか」
「技能として体は覚えていると思いますけどね」
「それから、魔法があるなら使いたいな。何でも使えるようにしろとは言わないから一芸に秀でた感じでお願いしたい」VigRx
「なるほどなるほど、時に蓮弥さんは火力と手数とどちらが大事だと思いますか?」
「そりゃ手数だろうが、何か意味があるか?」
当ればでかい、と言う言葉は当らなければ意味がない、という言葉と同義であると思う蓮弥である。
「ええ、色々と参考に」
「それと、いきなり最強にしてくれとは言わないが、鍛錬すれば結果として跳ね返ってくるようにしてほしい。それくらいかな」
「なーるほどです。あ、外見に関係する要望はないですか?」
尋ねられて、訝しげに蓮弥は幼女を見返す。
幼女は事も無げに続けて言った。
「元の肉体は元の世界で死を迎えて、火葬されてお墓の中ですから。あちらの世界に行く際には別の肉体を構築して、それを使ってもらうわけですから」
「ああ、なるほどな」
「こっちは多少無茶しても、問題ないので要望をバーンと言ってもらっておっけーですよ。それこそ目が合っただけで女性が失神するようなイケメンから、その姿を見ただけで男性諸君が何故か前かがみになって動けなくなるような絶世傾国の美姫まで、お任せ下さい」
「性転換までアリなのか」
「肉体は新品ですからねー。一から創りますのでどっちでもイケます」
自分は男性であるという自覚が蓮弥にはあった。
記憶の結構な部分を初期化されてしまっているので、確かにとは言えなかったが、名前からしても女性だったとは考えにくい。
それを踏まえた上で、蓮弥はどちらにしようかなと考える。
具体的には抱かれるのと抱くのとどっちがいいかな、と言う実に下世話な話だったが、本人からすれば切実かつ重大な問題だった。
しばらく考えた蓮弥はやがて、答えを決める。
「男性で頼む。容姿は醜くさえなければ十人並みでいい」
「了解です。容姿はそこそこに、見てて問題ないレベルっと」
メモ帳の下の方にさらさらと書き込んだ幼女は、その書き込んだメモ紙をぴっと破り取ると、くしゃりと丸めて手のひらにおいた。
その小さな唇がすぼめられ、ふっと小さく息を吹きかけると丸めれたメモ紙は、幼女の手の平の上で勢いよく燃え上がり、すぐに灰となって崩れ去る。
せっかく書き留めたメモ紙に、何をしてるのだろうと思った蓮弥の視界に、天使達が消えた時と同じようなメッセージが流れた。
<報告:「健康体」「超回復」「酒精耐性」「健啖」「鍛冶」「剣術」「体術」「魔術(適性:風)」「無詠唱」「高速充填」「術式並列起動」「成長限界突破」「鑑定」「異世界言語」を取得しました>
「なにこれ?」
「えーと。ゲームで言う所のスキルと言う奴だと思えば……って94歳のおじいちゃんがゲームなんてやってるわけないかー」
「いや、なんとなく分かる」
老後の無聊の慰みに、ゲームに興じていたかどうかは、記憶が初期化されているせいなのか蓮弥には思い出すことが出来なかったが、幼女の言わんとしていることは理解できた。三便宝
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