2015年4月20日星期一

新しい仲間が出来ました

 研究会説明会があった翌日、遂に研究会が始動する。前からある研究会はずっと活動してるけど、俺達は新しく立ち上げた研究会なので今日からだ。だって……

「今更だけどさあ、研究会って何すんの?」
「本当に今更だな……まあ、特にこれといって決まってはいないな。基本的に授業でやらなかった事、もっと詳しく学びたい事なんかを、放課後に同じ目的を持った者達と一緒に研究する……というのが一般的だな」VVK
「そうか、なら俺達の『究極魔法研究会』は何を研究すんの?」
「さあ?あの時はノリで決めたからな。何をするのかまでは知らんな」
「ノリって……」

 そんな理由でいいの?名前の提案者に目を向けると……

「私もノリで言った。後悔はしてない」
「つまり何にも決めて無いと……」
「ウォルフォード君なら色んな魔法を極めそう。私もそれに協力したいし、極めたい」
「……んじゃあ、皆で魔法を極めましょうって事でいいのか?」
「それでいい」

 何かフワッとした理由だけど、まぁいいか。皆とワイワイ楽しむのも放課後の楽しみかな。

 そして研究室に着くと、昨日入った二人が既に来ていた。

「あ!お疲れさまッス!」
「お、お疲れさまです」
「お疲れさま、早いね?」
「あ、はい!あの、殿下や賢者様のお孫さんを待たせちゃいけないと思って走って来たッス!」
「あ、あの……ご迷惑でしたでしょうか?」
「迷惑って何でよ?」
「いえ、あの、その……」

 昨日は顔を合わせただけだし、まずは交流を深めるところからかな?

「まずは研究室に入ろうか」

 そう言って研究室に入る。教室より簡素な造りの部屋と机だが十分だ。

「じゃあ、研究会の代表であるシン、挨拶しようか」
「また挨拶か……」

 そう言って前に出る。

「えー、今回この『究極魔法研究会』の代表になったシン=ウォルフォードです。いつの間にか研究会が立ち上がっていて、いつの間にか代表になっていたので何をするのか全く決めてません。まぁボチボチやっていきましょう」

 そう言うと、マークとオリビアだったかな?二人は唖然としてた。

「『究極魔法研究会』って……」
「そんな名前だったの?」

 そこかい!知らずに入ったのかよ!

「いえ……ウォルフォード君が研究会を立ち上げたって聞いたので……」
「よく確認せずに入会したッス!」
「……まあいいか。それじゃあ、マークとオリビア、二人自己紹介してくれるかな?」
「は、はいッス!ええっと、自分はマーク=ビーンです!一年Aクラスです!家は鍛冶屋をやってまして、武器や防具、生活用品まで手掛けてるッス!ご入り用の際は『ビーン工房』をご用命下さい!鍛冶屋の手伝いをよくしてたんで火の魔法が得意ッス!宜しくお願いします!」
「へえ、『ビーン工房』と言えば、腕の良い鍛冶師が沢山いる良品揃いで有名な所じゃないか」
「そうなの?というか詳しいなトニー」
「まあねえ……ウチの家族は僕以外騎士だって言ったろ?昔はよく剣を振り回してたからね。『ビーン工房』の剣は他の工房の物より切れ味も良いし、ナイフなんかの小物でも使いやすいのが多いんだよ」

 メッチャ意外だ。トニーが武器について語ってる!騎士の家系だって言ってたからそう不思議では無いはずなんだけど、チャラ男の雰囲気と全く合って無い。マークも意外そうな顔をしてる。

「あ、ありがとうございます……ウチの店知ってるんスね」
「ああ、『ビーン工房』の物を使うのは当時の目標だったからねえ」
「そう言って貰えて嬉しいッス!何か入り用があれば言って下さい!サービスしますんで!」
「本当かい?それは嬉しいねえ」

 トニーの意外な一面を見たな。そして次はオリビアだ。

「あの……オリビア=ストーンです。私も一年Aクラスです。家は食堂をしてまして、店の名前は『石窯亭』です。マークとは幼なじみで、昔から知ってます。お店の手伝いで水をよく使うので水の魔法が得意です。宜しくお願いします」漢方蟻力神
「『石窯亭』!?超有名店じゃん!!あそこの石窯で焼いたグラタンが絶品なんだよねぇ……」

 アリスが何かを思い出しながらそう言った。ヨダレ垂れてる、ヨダレ。

「学院の合格祝いを『石窯亭』でしたんだ。もう、超~~~美味しかったんだから!」
「それは羨ましいねえ、僕の家は予約が取れなかったんだよ」
「あ、あの、よかったら皆で来て下さい。おもてなしします」
「本当に!やったねシン君!これは凄い人材だよ!」
「失礼な誉め方すんな!」

 しかし二人とも有名なお店の子供なんだな。そのお店の事知らなかったわ。

 マークは茶色い髪に黒い目、ソバカスがある少年だ。鍛冶屋の手伝いで鍛えられているのか、割と締まった体つきをしてる。体育会系な感じだな。

 オリビアはセミロングの黒髪に青い目をした美人さんだ。可愛いより綺麗な感じ。お店の看板娘なんだろうな。

「鍛冶屋の息子で工房の手伝いをしてたってことは、マークも何か造れたりするの?」
「は、はいッス!あ、ああいや!大した事無いッス!」
「ねえマーク。この研究会は一年生しかいないんだ、敬語は止めようよ」
「そうそう、オリビアもね!」
「え、でも……」
「殿下や英雄のお孫さんですよ?」
「ああ、それは気にしなくて良いぞ。シンなんかは時々私の事をお前呼ばわりするからな」
「いや殿下……それ、シンだけですから……」

 だってオーグだし。

「まあオーグは無理だろ、でも俺はじいちゃんとばあちゃんが有名なだけで一般人だからな。お前らと一緒だよ」
「……一般人?」
「空耳かしら?」
「まあシンも来週には有名人だけどな」

 おい!皆非道いな!貴族じゃないんだから一般人だろ?そしてオーグは何か言ったな。

「オーグ、来週って?」
「ん?ああ、多分帰ったら通知が来てるだろうが、シンの叙勲式が来週の週明けに行われる事が決まってな。これでシンも有名人の仲間入りだ」
「そうか……決まったか……」
「安心しろ。昨日言ったろ、政治利用はしない。父上が叙勲式で正式に発表するそうだ。だがまあ、名前が売れるのはしょうがないな。今でも既に売れ始めているし」
「そうかぁ……」

 もう気軽に外を出歩けなくなるのかなぁ……そうだ!

「変装するか姿を消せば良いんだ!」

 そう叫んでしまった。あれ?周りの視線が痛い……

「変装は分かるけど姿を消すってなんだ?」
「え?そのままだよ。こうやって姿を消せば周りに気付かれないじゃん!」

 そう言って、光学迷彩魔法を使うと皆がまた唖然としてた。これもか。

「え?シン君?どこですか?」
「うそ……急に消えた……」
「な、なんですか?これは!?」
「いや、そんな驚かなくても……」

 そう言って光学迷彩魔法を解除すると皆から質問責めにあった。

「シン!今の何?全く見えなくなったんだけど!」
「確かに不思議。何かに隠れた訳じゃ無いのに姿が見えなくなった」
「同じ場所から現れたという事は移動した訳でもないのでしょう?ならどうやったのですか?」
「ちょっと待って!マークとオリビアを放ったらかしだよ!」

 そう言って二人を見ると、二人とも呆然としていた。

「殿下をお前って……」
「ウォルフォード君叙勲されるの?」

 ちょっとずつズレてる!

「ちょっと話を纏めようか、何かメチャクチャになった」
「お前のせいでな」
「うっせ!ちょっと待って、えーと、マークが何か造れるのか聞いてて、敬語は止めてって話だったよね?」男宝
「そうッス」
「じゃあ、まず敬語から止めようか。同い年で敬語ってのもねー」
「殿下とウォルフォード君は無理ッス!それに工房の手伝いをする時は自分一番下っ端なんで、このしゃべり方が普通なんス!」
「私も、普段お店の手伝いをする時は敬語なんで……殿下とウォルフォード君以外なら出来そうですけど、それもすぐには無理です」

 オーグと一緒って……

「何か言いたそうだな?」
「別に……はぁ、じゃあそれはもういいよ。無理強いするもんでもないし」
「申し訳無いッス」
「すいません」
「いちいち謝らなくていいって。で?マークは何か造れるの?」
「いやぁ、自分さっき言ったように一番下っ端なんで、最近ようやくナイフを造らせてくれるようになったッスけど……魔法の練習もしなきゃなんないもんですから、全然まだまだッスね」
「そっかー何か造れるのなら武器を新調したかったんだけどなぁ」
「イヤイヤ!ウォルフォード君の剣って魔人を切った剣ッスよね?それに替わる剣なんてそうそう無いッスよ!」

 ん?あ、そうか言った事無かったな。

「いやあの剣、魔法を付与してあるだけで普通の鉄製の剣だよ?しかも薄く軽く造ってあるから耐久性もあんまりないし」
「え?普通の剣?」
「そう」

 そう言ってバイブレーションソードを異空間収納から取り出す。それをマークに見せた。

「これが魔人を切った剣……」
「よく見てくれる?」

 マークはバイブレーションソードを色々な角度から鑑定し始めた。

「……信じられないッス……この剣で本当に魔人を切ったんスか?」
「そうだよ」
「この剣……薄くて軽くて、確かに振り回しやすいッス。でもそれだけッス。ちょっと硬い物を切ればあっという間に折れてしまうッスよ」
「何?そうなのか?」
「はい殿下。御覧になられますか?」

 そう言ってオーグに渡す。

 ……オーグには普通の敬語なんだ……

「これは……確かに、すぐに折れそうだな……」
「魔法を付与してあるって言ったろ?魔力流してみろよ」
「っ!これは?刃が微細に振動している?」
「んで、これ切ってみ?力入れなくていいから」

 そう言って異空間収納から丸太を取り出す。これ、何で持ってるんだろう?何かに使おうとしてたっけ?

 何で丸太を持っていたのか。自分で不思議に思っていると、オーグの驚いた声が聞こえた。

「なっ!何だこれは!?」

 バイブレーションソードが丸太をバターのように切っていた。その光景に皆目を見開いている。そして丸太をスッパリ切り落とした。

「これは一体……」
「バイブレーションソード。刃に超高速な振動を加えるとこういう風に物が切れるようになるんだ」三體牛鞭

 バイブレーションソードを受け取りながら説明する。

「刃自体は薄い方がいいんだ。後は持ち手の改造とか、やっぱり薄くて折れやすいから予備とか欲しかったんだけどね」

 そう言ってバイブレーションソードを異空間収納に戻す。すると何かを考えていたマークが言った。

「……薄い刃、そういう条件だけで良いなら自分でも打てます。後はウォルフォード君と相談しながらになるッスけど……」
「本当に!?良かった、今までは人伝に頼んでたから細かい調整とかできなくてさあ、助かるよ!」
「いえ、これくらいならお安い御用ッス」

 いやあ、これはラッキーだ。これで色々試せるよ。

「しかし、こんな物まで創っていたんだな」
「凄いねぇ私も付与魔法得意なつもりだったけど、これ見ちゃうとなぁ……」
「ユーリだってその内出来るようになるよ。何ならばあちゃんに教えて貰っても良いんだし」
「え!?本当にぃ!やぁん、超嬉しぃ!」

 ユーリがテンション上がってるの初めて見たな。ばあちゃんの事本当に尊敬してんだな。

「でも、これのナイフバージョンは、ディスおじさんとかクリスねーちゃんとかジークにーちゃんには渡したよ?」
「……見た事無いな」
「そうか、内緒にしてたのかな?」
「そういえば、何年か前にジークフリードが新しい武器が手に入ったと自慢していた事があったな……私がいくら頼んでも見せてくれなかったが……」

 ジークフリード?誰だ……その格好いい名前の人物は?

「シン君、ジークフリード様の事知ってるの!?」
「ジークフリード様が誰だか知らないけど、ディスおじさん……国王の護衛のジークにーちゃんなら知ってるよ。銀髪の」
「それだよ!魔法使いの女の子、いや!王都中の女の子の憧れ。ジークフリード=マルケス様だよ!」
「あの人は憧れるよねえ……」
「一度でいいから話してみたい」
「中等学院にはファンクラブがあったなぁ」

 アリスが熱く語ってる。マリア、リン、ユーリも同意する。

「えぇ……只のチャラいにーちゃんだよ?」
「それに、クリスティーナ様の事も知ってるみたいだねえ」
「だからクリスティーナ様って誰だよ?ジークにーちゃんと同じ護衛のクリスねーちゃんなら知ってるよ」
「クリスティーナ=ヘイデン、若くして国王陛下の護衛騎士に選ばれる程の剣の腕を持ちながら、美しくそのミステリアスな容姿に憧れを抱く男子は多いねえ」

 トール、ユリウス、マークが凄い勢いで頷いてる。

「ミステリアスって……無愛想なだけだよ……」

 知り合いが大人気でした。なんだろう、この自分の兄姉を誉められているような妙な感じは。それより、実態と全然違う……これは会わせると幻滅するかもしれないな……

「それよりもシン、さっきの姿を消したのはどうやったんだ?」
「そうだよシン君!あれ何?」狼1号
「ああ、光学迷彩?」
「こうが……何だそれは?」
「光学迷彩。人間が目で見てるものって何を見てるか知ってるか?」
「何って……物だろう?」
「何で物が見える?」
「何でって……そんなの分かんないよ」
「人間の目ってさ、光が反射したものを見てるんだ」
「反射?」
「そう、だから光を反射しない物は見えない。ガラスなんてそうだろう?あれはガラスが光を通しちゃうから不純物が混じってないガラス程透明に見える」
「確かに……」
「そうやって反射した物を見てるって事は、その反射した光の具合を歪めてやると……」
「あ!シン君が消えていきます!」
「消えてる訳じゃ無いよ。俺の周囲に魔法で干渉して光を歪めてるんだ。だから俺の周りの風景に反射した光が俺を迂回して俺の前にいる人間に見えてる。結果、俺が消えた様に見えたんだ。透明になった訳じゃ無い」

 光学迷彩を解除しながら説明すると、皆の頭に?マークが浮かんでいるのが見える。

「……シシリー分かった?」
「いえ……」
「説明されてもサッパリ分かんない!」
「分からないけど、これは凄い魔法」
「やっぱり……」
「魔法の常識知らずで御座る」

 皆口々に言うけど……

「ここは『究極魔法研究会』なんだろ?これくらいで驚いてどうするよ?」
「いきなり究極過ぎる!」
「これは凄い。究極の隠蔽魔法」
「いや、音も消してないし、魔力遮断もしてないから究極じゃ無いだろ?」
「いや十分だな。できればこの魔法もあまり広めて欲しく無いものだ」
「何でよ?」
「暗殺し放題、機密文書も盗み放題、盗聴に尾行、犯罪に使われる用途が多すぎる」
「そんな事言ってたら魔法なんて何にも使えねえよ。結局、使う人間のモラルの問題だろ?」
「確かにそうなんだが……この魔法は誘惑が多すぎる……」
「大丈夫ですよ殿下!だってさっきの説明で理解した人なんていないですよ?」
「……それもそうか」
「俺の説明、分かり難かった?」
「いやぁ……そもそも意味が分かんなかった」

 分かりやすいように光の反射から説明したんだけどな。そもそも目が光を捉えてるって概念も無いのかな?

「そっかぁ……分かんないかぁ」
「これはあれね。シンが究極の魔法を開発していくのを生温かく見守る会になりそうね」
「そんな事無い。私も少しでもウォルフォード君から学びとる」
「これが陛下が入学式で仰っていた事ですね。シン君が魔法の固定概念を壊してくれるって」
「ちょっと壊しすぎな気もしますが……」
「諦めるで御座るよトール」
「やっぱりこの研究会に入って良かったねえ。ずっとSクラスにいれそうだよ」
「私は付与魔法を教えてほしいなぁ」
「まあ、程々にな」

 呆れてるのもやる気を出してるのもいるな。まあ、初めての研究会の活動としてはこれくらいでいいかな?

 そういえばあの二人は?

「無詠唱ッスか……」
「さすがSクラスね……」巨根

 だから!ちょっとずつズレてるって!

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