2014年11月3日星期一

旧知の再会

ここは【ヴィクトリアス】。『人間族ヒュマス』の王国である。


 居住区のある場所、隠れるような隅角にポツンと小さな小屋のような家が存在する。決して進んで住みたいと思わないほど小さな、そしてかなり年季の入った建物である。CROWN 3000


 周囲も草が生い茂り、もう何年も手入れなどされていないことは一目瞭然だ。そんな小屋に一人の老婆が住んでいる。


 彼女は街の大通りで占いが終わると、食糧を買い込んで小屋へと戻るのだ。そこでひっそりと時間を過ごすのだが……。


 いつものように買ってきたパンを食器に乗せて、グラスにミルクを注ぎ込み、ギシギシと音の鳴る椅子に腰かけると。


「こんな所にいたなんてね」


 子供のような甲高い声が背後から聞こえ、ハッとなって振り向く。そこには声だけで感じた通り子供が立っていた。


 しかし老婆はこれ以上開かないというくらい目を見張り硬直していた。


「ずいぶん探したよ。まさか人間王のお膝元にいるなんて思わなかったけど」


 老婆は諦めたように目を閉じて軽く息を吐き出す。そしてゆっくりと目を開け言葉を絞り出す。


「よくここが分かったもんさねぇ…………アヴォロスや?」


 彼が元魔王アヴォロスだということは承知している。そしてここにやって来た目的も大よそ見当はついていた。


 老婆がアヴォロスの背後に付き従っている黒衣のローブの存在を確認する。


「それが今のお前さんの駒かい?」


 部下とは言わない。この男が人を駒のようにしか扱えないことは百も承知だからだ。すると彼は楽しそうに笑うと、


「紹介しようかい?」


 うんざりするほど胡散臭いその笑顔。もう見たくなどないと思っていたが、ここで捕まったのなら下手に動かない方が身のためだと老婆は考える。


「いいや、そんなことより要件を言ったらどうだい?」
「フフフ、相変わらずせっかちだね。こうして久しぶりに会えたんじゃないか。昔話に花でも咲かせようとは思わないのかい?」
「そんな話をしに来たのかい?」
「…………ちぇ、ユーモアが分からないのは頂けないねぇ」


 大げさに肩を竦ませて溜め息を吐くアヴォロス。そして彼はもう一度確かめるように周囲を見回す。


「しかし、《先見せんけん》のアリシャともあろう者が、よもやこんなむさ苦しい所に隠れ住んでいるとはね……」OB蛋白痩身素(3代)
「その名で呼ぶでないさね。もう使ってはおらん」
「……そうか、そうだね。今はこう名乗ってるんだったんだね………………マルキス・ブルーノート」
「…………」
「それにしても、君が書いた本、アレは何だい? 余も一応目を通したけど……何の冗談だい?」


 それまで感じなかった殺気が、まるで針のように全身を刺してくる。思わずゴクリと喉が鳴るが、フッと殺気が止む。


「おっと、ごめんごめん。つい……ね。だってあの本、とても酷いよね。まるで主人公を馬鹿にしたような書き方だ」
「…………」
「君が何のつもりでアレを書いたのかは分からないけど、他にもいろいろ書いてるよね? いつから君は部外者になったんだい? あの事を知っている確かな生き残りのはずなのに」


 アヴォロスの目が細められる。まるで獲物を追い詰めて、後は狩るだけという意思が伝わってくる。


「……別に部外者を気取っとるわけではないさね」
「へぇ」
「あの事を知っているからこそ、ワシはペンを手に取っただけの話さね」
「何の意図があって?」
「話すとでも?」
「黙っていられるとでも?」


 またもアヴォロスから息詰まるような殺意が飛んでくる。思わず腰が引けるようになるが、負けじとガッシリと足で床を掴む。


 しばらく睨み合いが続き、アヴォロスは呆れたように頭を横に振る。


「やれやれ、強情なのは昔とちっとも変らないか」
「それはコッチのセリフさね。こんな老婆に向ける魔圧まあつではないさね」
「アハハ! 何を言ってるのさ! 老婆なのは見た目だけだろうに」
「…………」
「いつまでそんな醜い姿をしているのさ。それにその喋り方も。それとも今更恥ずかしくて素顔を見せられないのかい?」


 マルキスはジッとアヴォロスを見つめると、観念したように目を閉じる。そして懐から何かを取り出して口に含んだ。すると驚いたことに、シワシワだった肌から艶のある瑞々しい肌へと変化していく。


 白髪だった髪の毛も生気を取り戻していくかのごとく美しいダークブルーを備えた色へと変色していった。身長も伸びていき、スタイル抜群の女性がそこに現れた。


 若返り、と一言では表せないほどの変わり様だった。老婆だった先程の姿からは想像もできないほどの美貌と若さを兼ね備えたポニーテール美人が誕生した。


 そんなマルキスを満足気に見ているアヴォロスは、パチパチと手を叩く。福潤宝


「うんうん、やはり君はその姿じゃないとね。それでこそだ」
「…………」
「それでこそ、かつてアイツと余が一目を置いた女性だね」
「……言っておくけど、求婚はお断りよ」


 透き通るような美声が室内に響く。


「いやいや、今更そんなことしないよ。だって幾ら外見が若いからって、君も立派なお婆ちゃんだからね。余は若い娘が好きだし」
「あら、女性に向かってお婆ちゃんなんて言う人が若い娘を捕まえられるとでも思ってるのかしら?」
「ん~こう見えても結構モテるんだよ? 知ってるでしょ?」
「貴方こそ外見だけでしょうが」
「アハハ! 痛いとこ突かれたなぁ~」


 アヴォロスは外見だけなら老若男女を惹きつける魅力はあるのだ。しかし性格が見事に破綻している。


「さてマルキス……要件を伝えようか。余とともに来てほしい」
「お断りよ」
「アハハ! 断られるとは思ったけど、少しは考えてくれることを期待したのに」
「たとえ殺されても貴方とともにあることなどできないわ。それは昔言ったはずよ?」
「…………」
「貴方があの望みを叶えたいと言う限り、私は賛同することはできないわ」


 キリッとした表情でマルキスは言い放つ。するとアヴォロスは笑みを崩し、真面目な顔で口を動かす。


「どうしてもかい?」
「ええ、どうしてもよ」
「納得できるのかい? こんな世界でも……君は」
「もう二度と悲劇は繰り返したくないのよ」


 マルキスの決意を感じたのか、アヴォロスは「そう……」と言うと、少しだけ表情に陰りを見せた。


「私は私なりにできることをするわ。それが……償いでもあるから」
「…………たとえここで殺されても……かい?」
「ええ」
「ならこの国全ての命を天秤に掛けると言ったら?」


 ここにいる国民全員が人質だと、冷酷な笑みを浮かべて言葉を投げかけてくる。しかしマルキスは少しも動揺は見せない。


「それでもよ」


 意思は揺るがない。


「…………はぁ」


 するとアヴォロスは何を思ったか、急に踵を返し、部屋を出て行こうとする。本当に国民を始末しに行くのかと、さすがに顔を強張らせたマルキスだが、VIVID XXL


「……これから戦争を始める」
「……え?」


 ピタリと足を止めて急に何を言い出したのかと思いキョトンとなるマルキス。


「世界全土を巻き込んだ戦争をね」
「あ、貴方やはりまだ……っ!」


 アヴォロスは背中を向けたまま語る。


「憶えておくといいよマルキス……いや、アリシャ」
「……?」
「世界は必ず余が手に入れる」
「……アヴォロス」


 そして再び足を動かそうとするが、またもその前に言葉を向けてきた。


「君をここで殺しても良かったけど。君には間違いを正してもらいたいからね。余の方が正しかったと。だから最後まで君には生きていてもらうことにした」


 そして顔だけ少しマルキスの方へ向ける。


「じゃあねアリシャ、久しぶりに楽しかったよ。会えて良かったかどうかは別だけど」
「アヴォロス……」
「君に正解を見せてあげる。楽しみに待ってるといい」


 それだけ言うと、アヴォロスは黒衣の人物とともに部屋から去って行った。静寂だけが支配するその場で、マルキスはドッと押し寄せてきた疲労感で脱力した。


 よろめきながら椅子へと座る。全身にはビッショリと冷たい汗をかいている。これほどの緊張を覚えたのは久しぶりだった。


 ミルクを一気に飲み喉を潤すと、


「アヴォロス……」


 小さく呟く。


「貴方のやり方じゃ……駄目なのよ……」


 だがその思いは誰にも届きはしなかった。挺三天

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