日が完全に沈みきった夜、ウッドキャッスルで国王に現状を報告し終える。
オレ、シア、リースは王座ではなく、客間で王と対峙していた。誰にも漏らせない話だからだ。
オレ達の話を聞き終えた国王が最終判断を下す。勃動力三體牛鞭
「申し訳ないが、この国から出て行ってくれないか」
(やっぱり、予想通りか)
オレ達の読み通り、国王は国外退去を命じてきた。
もちろん、リースが反対の意を唱える。
「待ってください父様! 大蠍ジャイアント・スコーピオンを討伐し力を示せば私達の好きにしていいというお話でした。一国の王である父様が約束を違えるつもりですか!?」
「一度交わした条件を違えるのは心苦しいが、その通りだ」
「ッ――」
国王は迷わず断言する。
改めてオレ達に向き直ると、悲しげな瞳で切々と語る。
「娘のララが姿を消し、妻は病床に伏せている。その上、まだ子供のルナを失うなど――考えただけで狂いそうだ。一国の王としてではなく、1人の父として願おう。どうかこの国から出て行ってくれないか。私はまだルナを、娘を失いたくなどないのだ」
もしスノーやクリスに子供が出来て、その娘が誘拐されたとしたら――オレ自身考えただけで狂いそうになる。絶対に誘拐した奴らを皆殺しにするが、それ以上に我が子の無事だけを必死に願うだろう。
「――分かりました。自分達は今夜にでもこの国を出ます」
「本当にすまない……」
国王は1人の父親として頭を下げる。
「予想した通りとはいえ本当に申し訳ありません」
国王が護衛者と共に退出し、客間にはオレとリース、シアだけが残される。
リースは改めて深々と頭を下げた。
「国王の気持ちも分かるよ。気にしてないから、リースも頭をあげてくれ。……それより今後の事だけど、本当に2人だけで大丈夫か?」
「はい、大丈夫です。私達にはリュートさんが制作してくださった汎用機関銃ジェネラル・パーパス・マシンガン、PKMがありますから、皆様が戻ってくるまでの時間ぐらいは稼いでみせます」
「ボクも頑張って姫様をお守りします!」
2人は力強く拳を握り断言する。
ウッドキャッスルにルナ誘拐を報告する前に、オレ達は屋敷の居間で今後の方針をすでに話し終えていた。
思わず、その時の話し合いを思い出してしまう――
「どうか我が祖国と妹――どちらもお救いください」
リースは真っ直ぐな瞳でかなり無茶な要求をしてきた。
オレは思わず苦笑いを浮かべてしまう。
「祖国とルナどっちも救え、か……。リースも可愛い顔をして無茶言うよな」
「か、可愛いですか!?」
なぜかリースはオレの『可愛い顔』という言葉に反応して、頬を真っ赤に染める。
彼女はすぐに咳払いをして気持ちを落ち着けると、微笑む。
「私の信頼するリュートさん……仲間達なら、我が祖国と妹ぐらい同時に救ってくださると信じていますから」
そう言われると弱い。
周りを見渡すと、スノー達も微苦笑を浮かべていた。
彼女達の答えもどうやらオレと同じようだ。
「分かった。リースのため、大切な仲間の祖国と妹どちらも救うため最善を尽くそう」
「わたしも頑張るよ!」
『私も、大切な友達のルナちゃんを誘拐した方々は許せません。鉄槌を下します!』
「リュート様に牙を向けた代償をしっかりと支払わすべきですわ!」
「皆様、本当にありがとうございます……ッ」
リースは深々と頭を下げる。
そしてすぐさまオレ達は実務的な話に移った。
「まずは状況を整理しよう」
オレの提案に皆が頷く。
「記録帳に記された結界石が破壊される日については、詳細な日は分かっていないが、早くて数日中だ。これに間違いはないな?」福源春
「はい、その通りです」
リースが頷く。
「次にルナの件だが、本当に誘拐されたと思うか?」
「ほぼ確実だと思うよ。だって、この髪の毛から、ルナちゃんの匂いがするもん」
スノーが髪を鼻に近づけ匂いを嗅ぎ断言する。
一級ふごふごニストが言うならまず間違いなく、この切られた髪はルナの物だろう。
「ならルナが誘拐されたとして……彼女なら自力で戻って来る可能性があるんじゃないか?」
「さすがにそれは楽観的すぎるとボクは思います。ルナ様は魔術師の才もあり、毎回ボク達を出し抜き城を抜け出しています。ですが誘拐相手も必死で逃がさないよう監禁していると思います。さすがに自力で脱出を期待するのは酷かと」
だよな。シアの言う取りだ。さすがに自力での脱出を期待するのは甘過ぎる。
「じゃぁ、オレ達が指示に従い国を出れば人質を解放すると思うか?」
この問いに皆が黙り込む。
安易に『解放される』とは言えない。
前世の世界でも『テロには屈しない』と某超大国が標榜していた。犯人側の要求を受け入れたからと言って、ルナが解放されると考えるのは甘過ぎる。
楽観視して、捜索せず傍観して最悪の結末を迎える可能性はある。
「なら、ルナ誘拐を国王に話したらどうなると思う?」
「間違いなく、リュートさん達の国外退去を命じると思います」
リースが再度断言した。
つまり――
①記録帳のXデイは近日起きる。
②ルナの自力脱出は不可能。秘密裏に捜索すべし。
③国王からの国外退去命令はほぼ確実。
この状況でオレ達のすべきことは……
腕を組み考え込む。
「――まず国王に報告しよう。そして国外退去を命じられたら大人しく従うしかないだろうな。無理に反目してルナの捜査も、結界石破壊後に協力体勢を取れないのは厄介だ。だから念のためリースには現時点で完成しているPKM等装備一式を渡しておく」
『リースお姉ちゃん、シアさんだけで倒させるつもりですか?』
「あくまで念のためだよ」
クリスの心配をやんわりと否定する。
「そしてルナの捜索に関してだが……」
皆の視線がオレに集まる。
オレならなんとかしてくれると視線で訴えかけてくるのだ。
下手に国の兵が動いたら、誘拐犯達がびびってルナを口封じに殺すかもしれない。
また何もせず放置していたら国外に連れ出され、二度と表に出てこない可能性もある。
自力脱出の目もほぼ無し。
彼女を救い出すことは出来るのは事情を把握しているオレ達だけだ。
だがどうやって少数でルナが監禁、捕まっている場所を特定する?
「――1つだけ彼女の居場所を特定する方法がある」
「本当ですか!?」
一番初めに姉であるリースが食いつく。
「可能性は高いと思うけど、絶対では無い。でも、恐らくこの方法しかないと思う……」
オレは皆に思いついた方法を話す。
「なるほど……確かにそれが一番ルナ様を見付け出す可能性が高いですね。さすが若様、こんな方法を思いつくなんてさすがです」
「本当に上手く行くか現時点では分からないけどな」
シアが納得し、称賛してくる。情愛芳香劑
ROCKER ROOM RUSH
オレは軽く受け流した。
「とりあえず一通りの方針は決まったな。それじゃまずリースには作業部屋にある装備一式を精霊の加護で収納してもらう。シアも来てくれ、汎用機関銃ジェネラル・パーパス・マシンガンPKMの使い方を教えるから」
リース、シアが返事をする。
「スノー、クリス、メイヤは念のためいつでも国外退去出来るように荷物を積んでおいてくれ。メイヤが主導で保険で作っておいたアレも積んでおいてくれ」
「分かりましたわ! リュート様の一番弟子であるメイヤ・ドラグーンにお任せください!」
メイヤはオレに頼られて嬉しいのか、喜々として張り切る。
「それじゃ時間も無いし、手早く動こう」
オレの合図に皆、それぞれの役割を果たすため動き出す。
意識が現実へと戻る。
打ち合わせは既に済んでいる。後はその通りに動くだけだ。
客間で向かい合っていたリース、その背後にメイドとして立つシアに声をかける。
「それじゃオレはスノー達の所へ戻るよ」
「妹を……ルナをどうか助けてください」
「ああ、任せろ。ルナもオレ達にとっては大切な仲間だ。絶対に助け出してやる」
「ありがとうございます、リュート様。では、これを」
目元を拭うリースから、ルナのハンカチを預かる。
そしてオレは立ち上がり、客間を後にした。
要求
「リューとん!」
「おわ!」
昼食後、腹ごなしに1人頼まれた買い物をしていると背後から突然、勢いよく腕を絡まされる。
危なく買った荷物を落としそうになった。
腕に突然抱きついてきたのは、ハイエルフ王国エノールの第3王女、ルナ・エノール・メメアだ。
彼女は何時ものツインテールをほどき、耳が縮み、瞳が緑ではなくなるペンダントをぶら下げている。
ルナは王女とは思えないほど気さくに話しかけてきた。
「こんな所で会うなんて偶然だね、りゅーとん」
「突然抱きつくなよ、危ないだろ」
相手は王女だが、人の嫁を誘惑する少女(見た目だけ)ゆえに言葉遣いを気にするつもりはない。オレの指摘に彼女は頬を膨らませる。
「もうリューとんまでお姉ちゃんみたいなこと言う。つまんないの」
「だったら、言われないように気を付けろ。それといい加減、腕を放してくれないか?」
「リューとんはこんな所で何してるの?」
彼女はオレの言葉を無視して、さらに腕に力を入れる。
荷物を持っているため、無理矢理振りほどく訳にもいかない。
オレは溜息をつきつつ答えた。
「買い物だよ。屋敷に篭もってばかりだと気が滅入るだろ。そういうルナは――って聞くまでもないか」
「ふふん、分かってるじゃない」
彼女の目的は、屋敷に居るクリスと今日のオヤツだろう。
クリスも彼女を歓迎している手前、断るのも難しい。
折角、こっちで出来た友達だ。
無下にする訳にはいかない。
「そういえば前から聞きたかったんだけど、ルナはどうやってあの湖を渡っているんだ。専用の船でも持っているのか?」
「まさか、船なんかでちんたら渡っていたらすぐに見付かっちゃうよ」
「じゃぁどうやって?」
「あっ、串焼きだ。美味しそう」
屋台の間を歩いていたオレ達だったが、腕を組むルナが足を止めたため必然的に動けなくなる。
「お昼は食べたけど、ああいうのは別腹だし、たまに食べたくなるんだよね」
「……おっちゃん、串焼き1つ頼む」
「毎度!」
オレは銅貨2枚で串焼きを1本買いルナに渡した。
彼女は塩、香辛料を塗し焼いた串焼きにかぶりつく。CROWN
3000
「う~ん、美味しい♪ どうしてこういう食べ物って、城うちで食べるご飯より美味しいんだろ」
「喜んで貰えて嬉しいよ(棒)。んで、どうやってあの湖を渡ってるんだ?」
「レクシに渡ってもらってるんだよ。ボートよりずっと速いから便利だよ」
レクシって彼女が背に乗っていたサーベルウルフのことか。
あの巨体なら確かに背に乗り、犬かきさせればボートより速いだろうな。
てか、酷使されてるなレクシも……。
オレは一度だけ見たサーベルウルフを思い出し涙する。
「リューとんはまだ買い物するの?」
「ああ、後2件ほど頼まれた品物があるから」
「そっか。それじゃ先に屋敷へ行ってよ」
ルナは串焼きを食べきると、オレの腕から手を解く。
「それじゃお屋敷で待ってるからね、お兄ちゃん♪ 串焼きご馳走様!」
誰がお兄ちゃんだ。
ルナはクリスのマネをすると、雑踏へと消える。
なんだかんだ言って、ルナは愛嬌があるせいか憎めない。これも人徳と言うのだろうか?
オレはルナと別れて改めて、頼まれた買い物を済ませに向かう。
そして――これがこの日、最後に確認されたルナの姿だった。
「ただいまー」
買ってきた品物を冷蔵庫にしまい居間へ顔を出す。
冷蔵庫は前世で言うところの古いタイプで、一番上に氷の塊を置いて箱内部全体を冷やしている。
氷はスノーに出して貰っているため、わざわざ高いお金を出して買う必要がない。
「ご苦労様、リュートくん。ごめんね買い物に行かせちゃって」
「オレが気分転換したくって行ったんだから、気にする必要はないよ」
オレは居間をぐるりと見渡す。
部屋にはスノーとクリスがオセロをしている最中だった。
「ルナはまだ来てないのか?」
「ルナちゃん? ううん、来てないよ」
「屋台の辺りで彼女に会って、今日も屋敷に来るって言ってたんだけど」
どこかで道草でも食ってるのか?
『今日もルナちゃんが来てくれるなんて嬉しいです』
「よかったな、クリス」
オレは妻の頭を撫でると、彼女は嬉しそうにはにかむ。
本当に可愛いよな。
「あぁ、ずるいよリュートくん! わたしも撫で撫でして」
「はいはい、分かってるよ」
ギューと抱きついてくるスノーの頭を同じように撫でる。彼女は忙しそうに鼻を動かし、オレの匂いを嗅ぎながら幸せそうな声を出す。
「『ふがふが』しながら頭撫でてもらうなんて、最高に幸せだよぉ」
『お兄ちゃん、私もお願いします!』
「おう、任せておけ」
クリスはミニ黒板を前に出し主張する。
オレは2人を抱えソファーに腰を下ろし、膝の上に座らせる。勃動力三体牛鞭
左右に妻達をはべらせる。
両膝にかかる重さ。
まったく重く感じない。むしろいつまでも膝の上に乗っていて欲しいぐらいだ。これが幸せな重さなのだろう。
「…………」
何気なく右腕でスノーの胸を揉み、左腕でクリスのスカートを捲り太股を触る。
「もうリュートくんのえっち」
『まだ明るいのにおいたしちゃ駄目ですよ』
2人とも注意してくるが嫌がる素振りは見せない。もちろん本気で嫌がるなら手は止めるが、これぐらいなら夫婦のスキンシップに収まるだろう。
一通りいちゃつき、切りのいい所でオレはメイヤの待つ作業部屋へと戻った。
――作業に集中していると、部屋の扉がノックされる。
返事をして扉が開くとスノーが顔を出す。
オヤツタイムの知らせだと思ったが、今回は少々様子がおかしい。
彼女は不安そうな顔をしていた。
「どうした、なにかあったのか?」
「うん、ちょっと。今リースちゃんとシアさんが来てるんだけど……2人ともちょっといいかな?」
オレとメイヤは顔を見合わせ、ただ事ではない空気を感じて作業の手を止める。
スノーの後に付いて居間へ顔を出すと、リースが病人のような青い顔でソファーに座っていた。シアは彼女を気遣うように隣席し、背中を察すっている。
「何かあったのか?」
「リュートくん、これ読んで」
スノーから1通の手紙を渡される。
無地の封筒で、宛名も何も書かれていない。
手紙の内容はというと――『クリスは預かった。無事、返して欲しくば速やかにエノールを出ろ』。
手紙と一緒に金色の長い髪が入っていた。
思わずシアと一緒にリースを慰めるクリスに目を向ける。
「……なんだこれ? 悪戯にしては随分質が悪いな」
クリスは目の前に居る。
目の前に居る彼女が偽物なんていう可能性も皆無。なぜなら今日、クリスは一度も家を出ていない。偽物と入れ替わるタイミングなど無いのだ。
この手紙と髪を見て、リースは気分を悪くしたのか?
だが、彼女がその程度で青ざめるほど神経が細い筈がない。
オレが状況の把握に戸惑っていると、リース本人が告げる。
「その髪はルナの物です……」
「ルナの?」
「恐らく、ルナはクリスさんと勘違いされて誘拐されたのです……」
「えっ、はぁ!?」
あまりに突飛な話に変な声が出る。
スノーが順を追って説明してくれた。
「ルナちゃんがいつものようにお城を抜け出したから、リースちゃんとシアさんが屋敷うちに迎えに来たんだけど、今日はまだ来てないって教えてあげたの」
「ボク達が尋ねたときポストに入っていた手紙を、クリス奥様が開けたらさっきの手紙と髪の毛が入ってて……」
「リュートくん買い物から帰って来た時、話してたでしょ? 外でルナちゃんに会ったって。わたし、その話を思い出して『ピン!』と来たの。もしかしたらルナちゃんは、クリスちゃんと勘違いされて誘拐されたんじゃないかって」
言われて納得する。
確かにクリスとルナの背丈は同じ、髪は金色でロング。オレと仲良く腕を組み一緒に買い物をしていた。別れ際、クリスみたいに『お兄ちゃん』とも呼ばれた。
別れた後、屋敷に遊びに来ると言ったのに未だ姿を現さない。
状況を照らし合わせれば確かに符合する。夜狼神
没有评论:
发表评论