2014年8月13日星期三

家族

エリーのスキル振りは少し保留にした。65Pはあるものの、空間魔法を極めようと思えば48P必要な可能性がある。じっくり考えたいとのことだ。

 だがティリカがこんなことを言い出した。狼一号

「私もマサルのパーティーに入る」

「仕事はどうするの?」と、アン。

「辞める」

「辞めるって。そんなに簡単にできるの?」

「師匠がまだ街にいるから頼んでくる」

「でも急にどうして?」

 そう聞いてみた。みんなで冒険に行くのが羨ましくなっちゃったのだろうか。それとも召喚獣を試してみたいとか。

「マサルが使徒だから」

「おれが使徒だとパーティーに入るの?」

 ティリカはこくりとうなずいた。

「昔。勇者があらわれたとき、一人の真偽官が勇者と知り合った」

 その真偽官は勇者の仲間になる機会もあった。だけどその真偽官は魔王討伐の旅にはついていかなかった。なぜ同行しなかったのか理由は残されていないが、後年それを後悔した真偽官は、もしまた勇者があらわれたときは必ず助けとなるように、できれば真偽官が同行するようにと掟を定めた。それは今でも連綿と受け継がれているという。

「おれ勇者じゃないんだけど」

「可能性があるってだけでも十分よ。ね、ティリカ」

「十分。もし後日、この機会を逃したとみんなに知れたら、きっと怒られる」

「でも使徒ってばらしちゃ困るよ」

「大丈夫。うまくやれる」

 そうしておれはティリカとともに、ティリカの怖い師匠と対面してるわけだ。場所は普通の宿屋の一室だ。結構偉い人と聞いたけど、質素なところに泊まってるんだな。

「師匠、頼みがある」

 席につくといきなりティリカが切り出す。

「何かね」

「この街での真偽官の任務を解除して欲しい」

「何故かね」

「マサルのパーティーに入る」

「何故?理由なき任務放棄は多額の賠償金が発生する。それはわかっているのかね?」

「これは特記事項第三項にあたると考えられる。補填は本部がするべき」

 特記事項第三項ってなんだろう?気になるけど、ティリカには基本的に黙っていろって言われているし。

「ほほう!第三項とは大きく出たな。根拠はあるのかね?」

「言えないし、今は言うべき時ではない」

 言うべきことはそれで十分らしい。もしこれ以上追求するようなら、真偽院という組織自体が疑心暗鬼で崩壊するだろう。身内同士で腹のうちは探らないという不文律があるのだ。うちの中でも最初にそういう話はして、ちゃんと言いたくないと言えばティリカはそれ以上追求するようなことはない。アンと相談していたときも、言いたくないと言えば済んだ話だったのだ。

「理由も言えないのに私にそれを本部に持って帰れと?」

「第三項を本部に知らせるのはまずい。このことは師匠のところで留めて欲しい」

「その男のせいかね?」

「それは言えない」

「情に流されたのじゃないのかね?」

「少しはそれもある。だけどこれは真偽官としての務めを果たすためにやること」

「義務を果たすためだと?」

「今のところは可能性が少しある、という程度。だけど後日、それが間違いだったとの判断がなされればこの命を断ってもいい」

「よかろう。好きにするがいい。本部に人員補充の連絡をいれよう。その間の代役はわしが務めることにする」

「ありがとう、師匠」

「だが、そこのおまえ。おまえにはティリカに命を賭けさせるほどの何かがあるのかね?」

「たぶんあるんだと思います。おれはそれでティリカの命を賭けるなんてとんでもないとは思いますが」紅蜘蛛

「ティリカは自分の命を賭けると言った。おまえは自分の命を賭けられるのかね?」

「賭けますよ」

 そうだ。家族を守るためなら命を賭けてもいい。

「いいだろう。ティリカ、常に真偽官の本分を忘れないように。しっかりと務めを果たせ」

「わかった。行こう、マサル」

 それで話は終わった。そういえばまたこの人の名前聞けなかったな。

 おれたちはいま冒険者ギルドに向かっている。今回の件を副ギルド長に報告に行かなければならない。

「さっき言ってた特記事項第三項ってなんなの?」

「第三項とは世界の趨勢に関わる事態にあった際の規定」

 そりゃ、大きく出たなって師匠の人が言うはずだよ。

「おれが使徒ってだけじゃ世界の趨勢うんぬんは言い過ぎだと思うんだけど」

「マサルのその能力。なぜ神がそんな力をマサルに与えた?」

「そりゃテストをするためだろ」

「なぜテストの必要が?」

「なんでだろう……」

「それはいつか、その力が必要になる事態が起こると神が考えてるからに他ならないと私は考える」

 世界の破滅か。やはり神はおれにそれをどうにかさせたいのだろうか。

「魔王でも復活しておれが勇者になるかもしれないってこと?」

「わからない。でも何かがあってもマサルが勇者になることはない。その力で勇者を作ればいい」

 なるほど。おれも少しそれは考えてた。どっちかって言うとおれとかよりサティのほうが勇者に向いてるんじゃないと思うんだ。まあサティにそんなことは絶対にさせないけど。

「私の魔眼は旅の役に立つ。召喚魔法も覚えた。私がマサルを守ってあげる。それにサティもアンもエリーもいる。何が起こってもきっと大丈夫」

「うん。ありがとう、ティリカ」

 そう言ってティリカの頭をぐりぐりと撫でた。そうだ。おれ一人でやる必要はないんだ。今はまだこの生活を壊したくないから黙っているけど、世界の破滅のことはそのうちちゃんと話そう。

 世界の破滅は20年後だ。あとほんの少しくらい、安穏とした生活を楽しんでも罰はあたらないだろう。

 ギルドに到着し、副ギルド長の執務室を訪ねる。副ギルド長はちょうど在席で仕事もしていなかったようだ。

「おお、マサルとティリカじゃねーか。今日は休みだろう。おれの顔を見にでも来てくれたのか!」

 そういって副ギルド長が豪快に笑う。

「今日は仕事を辞めるのを言いに来た」

「お、おう?もう子供でも出来たのか……?」

 相変わらず説明不足のティリカも問題だが、副ギルド長の発想もおかしい。こんな短期間で子供が出来たのがわかるわけがなかろう。避妊もちゃんとしてるし。

「ええっとですね。今回ティリカがうちのパーティーに入ることになりまして」

「ふむむ。それは構わんが、ここの仕事はどうするんだ、ティリカ?」

「師匠が説明しに来ると思う。代役を用意する」

「そうかあ。マサルのパーティーもこれで5人か?パーティーの名前はなんて言うんだ?」

「え?名前……なんだろう?」と、ティリカを見る。

「知らない」

 そうだよね。何にも考えてなかったよ。 紅蜘蛛赤くも催情粉

「登録しとかないとだめだから決めておけよ」

「あ、はい」

「それにしても寂しくなるな。マサル、ちゃんと面倒みてやってくれよ」

「ええ。でもこの街を拠点にしてますからね。いつでも顔を見れますよ」

「ドレウィンには世話になった。ありがとう」

「いいんだ。こっちこそ。最初にやらせたあれとか大変だった。もう流石に手出ししてくるやつはいないと思うが、マサル、本当に気をつけてくれよ。ギルドの仕事を辞めるとなると、もう護衛をつけるわけにはいかんからな」

 ティリカがこっちにきた当初、街にはびこる犯罪者やら汚職やらを魔眼を使って徹底的に摘発したらしい。それで恨んでいるやつらが相当数いるのだそうだ。結構前の話だから、いまだにどうこうしてくるやつはもういないみたいだけど、油断はできない。

「大丈夫です。対策は考えてありますから」

 今は召喚獣のたいががいるし、ティリカ自身も魔法が使えるから、多少強いくらいの刺客では相手にはならないだろう。もちろんティリカを一人にするつもりはないが。

「そうか。何かあったら言ってくれ。力になるぞ」

 その瞬間。ティリカがたいがを呼び出した。

「な、なななん」

 狭い執務室に突然あらわれた大きな虎に、副ギルド長がうろたえる。

「落ち着いて。私の護衛。名前はたいが」

「護衛?この虎が?今どこから出てきた?」

「おい、見せちゃって大丈夫なのか?」と、小声でティリカに尋ねる。

「大丈夫。ドレウィンは信用できる。ドレウィン、この事は誰にも話さないように」

「ん、ああ。わかった」

「くれぐれもお願いしますよ」

「それで。今のこれは魔法か?」

「ええ、そのようなものです。普段は隠しておいて、いつでも呼び出せるんです」

「ほー。強そうなやつだなあ」

「強いしかわいい」

「うむ。そうだな。こんなのが護衛についてたら安心だ。しかしこれは……ビーストテイマー?……いや、召喚か?」

「秘密」

「そうか。秘密だな。わかった」

 そんな感じでティリカは無事うちのパーティーに入ることになった。そして翌日から師匠の人がギルドに来て威圧感を存分に振りまいたおかげで、冒険者からはティリカ復帰の嘆願が多く出されたそうである。紅蜘蛛(媚薬催情粉)

 もう一件難題が残っている。司祭様に話をしないといけない。今のところ黙っていてくれてるみたいだけど、そのあたりのことをキチッとしておきたいのだ。

 前日にアンジェラを通して2人で会いに行くのは言ってあり、神殿に着くとすぐに司祭様に出迎えられ、小部屋に通された。アンジェラと並んで座り、司祭様と向き合う。

「お話があるということですが」

「はい。まずは先日の結婚式のお礼を。神殿を使わせてもらい、主催もやっていただきありがとうございます」

「いいのですよ。シスターアンジェラは娘のようなものですから。それにマサル殿には何度も治療院を手伝ってもらってますからね。この程度ではとても釣合いません」

 さてここからが本題だ。

「それでその。アンジェラからある程度伝わっていると思うのですが……」

「そのことに関しては私の胸の内におさめてあります。ご心配なく」

「はい。ですがきちんと話をしておこうと思いまして」

「話していただけるとあれば喜んで聞きましょう」

「今から話すことはご内密にお願いします」

「もちろんですとも。どこにも話すことはありませんよ」

「俺が使徒だと言うことはお気付きかと思います」

「ええ。薄々は」

「話の始まりは仕事を探していて……」

 みんなにした話を繰り返す。もちろん世界の破滅の話はしないで街に入ったあたりくらいまでだ。

「なるほど。能力のテストですか」

「ええ。別に魔王を倒せとかそんな話は全くないんです。だから使徒ってばれて自由に動けないと困るなと。それにおれが目立つのだめって知ってますよね」

「お話はわかりました。このことは絶対に漏らしません。それにしても、シスターアンジェラ」

「あ、はい」

「最近急に治癒術の腕が上達したのはもしかして?」

 やっぱり鋭いな。砦に行っている時におれに教えてもらってコツを掴んだ、みたいな誤魔化しはしてみたが、やっぱり無理だったか。

「この能力でアンジェラの魔法も強化したんですよ。加護を与えるっていうんですか」

「その加護は誰にでも与えられるのですか?」

「いえ。親愛度っていうか、信頼度のようなものが一定以上にならないと」

「ああ、なるほど。そういうことですか。ではマサル殿の家の他の方も?」

「はい。全員加護を受けてます」

「いや、しかし。なんという素晴らしい力でしょうか。まさに神の御加護ですね」

「くれぐれも内密にお願いします」

「ええ、ええ。もちろんですとも。使徒様の頼みなのです。絶対に守りましょう。ただですね……」

 司祭様は先程までの笑顔を急に曇らせた。D10 媚薬 催情剤

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